純粋な広告効果が測定可能に 電通デジタル、新評価モデル「True Lift Model」を提供開始

電通デジタルは、デジタル広告における広告効果をより正確に評価する新指標「True Lift Model(トゥルー・リフト・モデル)」を開発、提供を開始した。

 

 これまでデジタル広告の評価では、広告の接触者がどれだけクリックをし、購買などの成果に至ったかを評価するモデルが一般的であった。その結果、購買する確率が高い、自社サイト来訪者への「リターゲティング広告」に、広告予算が偏重する傾向にあった。しかし、このような施策のターゲットとなるユーザーは、既に購買検討意向度が高いため、仮に広告接触がなかったとしても購買に至る可能性が高く、そのすべてを純粋な広告による効果として捉えるには課題があった。

 そこで電通デジタルは、医療分野などで広く使われているランダム化比較試験の考え方を応用し、従来の広告効果を、仮に広告がなくても自然に発生した効果と、純粋な広告の接触効果とに統計的に切り分ける評価モデル「True Lift Model」を開発した。

 同モデルでは、広告接触ユーザーの全CVRの中から、広告接触がなくても自然とコンバージョンに至ったであろうユーザーのCVRを適切に差し引き、これを「True効果」として検出・評価する。
「True Lift Model」による検証方法

 これにより、直接的な顧客獲得効果が見えやすいダイレクトレスポンス広告と、成果への貢献が見えにくいブランド広告の分断が解消でき、広告予算配分の最適化が実現できる。

 

考察

今回この記事を読んで、私は2点に驚いた。

1つはリターゲティング広告のCVRは、純粋な広告効果だけで構成されているのではないということ。CVRの中には、本来ネット広告によるインプレッションがなかったとしても購買行動に到達するユーザーが一定の割合を占めているということは表面的なネット広告の学習をしていては決して気づけない点であった。

2つめは電通デジタルのアイデアの視点である。

「True Life Model」はこのネット広告業界で高いニーズを持つシステムであると思う。

そもそもインターネット広告の強みの1つはTVやポスターなどの従来のマス広告と比較して各メディアがユーザーに対してどのくらいのインプレッションやコンバージョンを達成したかを具体的に測定できるということである。

そのCVRをより高い精度で測定できる指標である「True Lift Model」は多くのwebマーケターに求められるだろう。

こうして普通に記事を読んでいると「True Lift Model」のようなシステムは「あったら便利だろうな」と思えるが、この記事に目を通すまではこのようなアイデア自体思いついていなかった。

今回学んだことは、新しく勉強したネット広告の知識を鵜呑みにするのではなく、常に「この知識は古いのではないか」という疑問を持ち続けること。

この業界では疑問を投げかける力も必要な能力であると感じた。