ネット広告「不快になったことがある」75%。意図せぬ広告クリックは68%が体験【イーライフ調べ】

イーライフはEUにおけるGDPRの施行にあたり、日本国内で消費者のデジタルデータを扱う企業に向けた提言を「【レポート】GDPRによる消費者意識の変化とデジタルマーケティングの展望」としてとりまとめた(PDF、52ページ)。

ここでは上記レポートの作成にあたって自社コミュニティ会員2,388人(*)を対象に実施された「ネット上の個人情報と広告についてのアンケート」について紹介する。

*回答者の男女比は女性が3/4、年代では中高年が中心。詳細は調査概要を参照のこと

ネット広告に「不快になったことがある」が75%。理由は表示位置、内容との関連性など

「ネットに出てくる広告に対して不快になったことはありますか?」との設問に対し、75.1%が「ある」と答えた。

 

不快になったことがあると答えた1,793人に対してその理由を複数回答で聞いたところ、「見たいものに重なるなど、表示の位置」が73.9%、「閲覧中のページと関係ない広告だったから」が57.8%となった。

 

「文章や画像などの表現」「自分の行動を監視されているように感じる広告だったから」「自分が最近見たり買ったりした広告だったから」についても3割前後が挙げている。

不快に思った広告の商品・サービスに対する印象を聞いたところ「購入・利用したくないと思った」が75.5%、「何も思わない」が24.5%となった。

 

68%が意図せず広告をクリックした経験あり

「意図せず、ネット広告をクリックしたことがありますか?」との問いに対して、67.8%が「ある」と回答した。

 

前問で「ある」と答えた1,619人に、意図せずクリックした広告についてどう思ったかを聞いたところ、「不快に感じた」が73.5%、「何も思わない」が24.2%となった

 

アドブロッカーを「知らない」が8割。「好印象もしくは役立った広告がある」は2割

アドブロッカー(広告非表示ツール)をスマートフォンもしくはPCに入れているか聞いたところ、「そもそもそんなツールがあることを知らない」が79.5%と多数を占めた。「知っていて入れている」は7.6%、「知っていて入れていない」は12.9%。

 

「あなたが今まで見たネット広告で印象がよかった、または役立った広告はありますか?」との質問に対しては、「ある」19.4%に対して「ない」80.6%となった。

考察
今回の記事はネット広告の好感度に関する具体的なアンケート結果を集計したものだ。今までこのブログでは「ユーザーに対する不適切なネット広告の表示は、不快感を生む」といった内容を間接的に考察していたが、本記事のように具体的に数値として表すのは初めてであった。
この記事で私が特に注目した点は2つある。
1つは「ネット広告を不快に思った事があるか・印象はどうか」といった全ての質問に対して、「マイナスイメージである」という回答が4分の3を超えているということである。
これは驚愕の結果であった。
スマートフォンの普及によってインターネットを使わない日は無くなったといえる現代人にとって、ユーザーの目線を無視したネット広告の掲示は明らかなストレスを生んでいた。
たしかに、このネット広告のような「インターネットを使うことで感じるストレス」というのは想像以上に多い。このストレスはスマートフォンを使い始めた頃から感じていたが、いまだに解消されていない。
 
2つ目は「不快になった理由」に「自分の行動が監視されているように感じたから」という理由がランクインしていることである。
これは行動ターゲティング広告のことであろう。
実は私自身もこのような感想を常日頃感じている。
私は先月wordpressで新しくブログを始めるために「お名前.com」でドメイン取得を行ったのだが、それ以降インターネット上に頻繁に「お名前.com」の広告が表示されるようになってしまった。私は現時点ではこれ以上ドメインを取得する予定はないため、正直かなりしつこいなと思ってしまった。
 
行動ターゲティング広告は今までの記事で紹介した、電通デジタルの「True LIft Model」のように高い精度でターゲティングできるようになるなど、進歩の余地がおおいに存在する広告である。
しかし、ターゲティングの精度を向上するだけでなく、「いつターゲティングを解除するか」という技術も今後は求められてくるのではないだろうか。
やはりユーザーが不快に感じていてもそれを認識できず、延々と広告を表示してしまうということは、インターネットが機械であることがよく分かる事例である。
ここにもまた、機械ではなく、人間がてを加えるべき仕事があるなと感じた。